SS:兎穏【醒めない悪夢】

>>ツイートから転載。
少しおかしいかもしれません。

>>空鎌兎穏&蒼星あん太
殺害/過去語り


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【醒めない悪夢】

「おい、兎穏!起きろ!」
身体に感じる振動、声。
ハッと意識が冴え渡る。
光は、ほのか。
「うなされてたぞ、お前。」
小柄で年下の少年は、不安げな目をこちらへ向けた。
そうだ、今は自宅ではなかった。
いつもと違う人と寝ていたんだ。
「そんなに、うるさかったか。」
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「うるさいなんてもんじゃねえだろ。隣の部屋のオレがここにいるんだから。」
そうだ、そうだった。
自分と同室で眠るあの子は、いつも一緒だから慣れているのだろう。
「いつもなのか。」
「いつもなんだ。」
呆れたような、同情するような顔。
他人に無関心な振りをして、
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その実、誰よりも他人を気にしている。
損な性格をしていると思う。
ただ、それが魅力であることも、知っている。
「オレもちょっと前まで酷かったんだ。」
「トレフィエル?」
「そ。」
頭ん中で歌い出すんだぞ、と笑った。
その歌が酷いものだというのは以前聞いた。
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過ぎ去った話。
過去だから、笑い話。
自分も、笑えたら良いのに。
きっと、これは、笑えない話。
「……幼馴染が、いたんだ。」
懐かしい昔話。
そして、
「俺が、殺した。」
消えない、罪の話。
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「……へぇー。そりゃまた、物騒だ。」
続けろよ、と促す彼は、やはり優しい人間なのだろう。
あの子が気に入るはずだ。
こんなに汚されていながら、こんなにも尊く美しい。
「彼女……霧愛は、とてもお金持ちでね。いつも綺麗な服を着ていたよ。」
「愛憎の結果?」
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ひゅう、と小さな口笛。
これも彼なりの配慮だろうか。
「いいや。俺は霧愛を憎んでいたからね。霧愛は俺を愛していたらしいが。」
「兎穏モテモテじゃん。」
「どうかな。霧愛も俺を殺したんだぞ。」
その瞬間、ほのかな明かりが消えた。
再度灯したとき、彼は笑っていた。
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「……続けて?」
「ああ……。俺を、こんな身体にしたのは霧愛なんだ。」
「へえ。」
声が少し低くなった事には気づいているのだろうか。
「それ以前からも、霧愛は俺をいじめることを楽しんでいたよ。」
「どエスなんだ?」
「だろうね。」
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「ヴィツィオさんが、尻尾に向ける愛と少し近いかもしれない。」
「それはえげつない。」
笑ってはいるが、笑ってはいない。
ああ、強い人だな。
こんな人間になりたかった。
「何でもされたさ。改造を受ける前からな。よく、死ななかったと思うよ。」
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「だからこそ。未だにみっともなく生きているんだろうが。」
また、明かりが消える。
笑顔も、消えた。
「生きてることにみっともないとか言うんじゃねえよ。」
ほら、そこなんだろう。
わざわざ逆撫でた自分も少し、悪趣味らしい。
誰に似たんだか。
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肩を掴む手に力が込められている。
ああ、お怒りだ。
ほかの人に見つかると、許されないのはきっと自分。
「テメーが生きてたから、ハイドは笑えてるんだろーが!」
あの子だって、そもそも、自分がさっさと死んでいれば。
生まれることのなかった、自分の罪。
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「……シークを作ったのはね。霧愛なんだよ。」
彼の肩が跳ねる。
大きな目がさらに見開かれた。
彼女も、自分のこんな表情を好んだのだろうか。
「富豪の娘にしては、ぼろっちいだろ?材料は、俺が捨てた服やシーツ。」
おお、引いている引いている。
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いじめているつもりはない。
彼は、聞き入れることを選んでいる。
「綿にね。血液が染み込んでいたよ。」
切り開き掻き出した、現在も。
頭部には、彼女がいる。
「……きっめえ。」
「俺も、そう思う。」
ああ、すっきりしてきた。
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「あー……オレ寝れっかな。」
「ごめん。」
自分は、さっきよりはよく眠れそうだ。
「いいけど。ハイドは知ってんの?」
「……さあ。話していない。」
覚えているのか、知らずにいるのか。
知ったら、どうするのか、どうもしないのか。
怯えている自分がいる。
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「こいつずっと寝てんな。幸せそうな顔しちゃってさ。」
そう言って彼はあの子を小突いた。
「……そうだな。」
幸せなら、それをどうして壊せるんだか。
壊せるものか。
こんな自分を、大切に思ってくれている。
大切な、人を。
「いつかは、話してやれよ。」
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「大事な人に、隠し事されんの。かなりキツイぞ。」
さみしそうな笑顔に、彼が年下だと言うことを忘れそうになった。
彼は、記憶がないと言うが、なかなかに大変な過去を過ごしている、らしい。
自分と比べどちらがマシかなんてわかりはしないが、比べるものでもないんだろう。
>
つらいのも、重いのも。
自分だけじゃない。ひとりで悩んだところで何にもならない。
無意味だ。きっと、そういうことなんだろう。
「そのうち、話すよ。」
大丈夫。
笑える。
「家族、だからね。」

おしまい。


>>兎穏さんとあん太が会話しててその横でハイドさんが眠ってるだけの話。
ツイッターだと細かい単位で書けるから捗るんだけど、全体を見ないからグダグダになる。
でもまあ、ご主人様の話でした。
霧愛と過ごした日々のことばかり夢に見る。
もちろん甘くなんてない。
拷問的なこととか。


  • 最終更新:2014-12-24 23:28:38

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